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Clinical Testing >> 技術コラム >> GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析

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空間トランスクリプトーム解析では、シングルセルシーケンスでは失われてしまう位置情報を保持しつつ、同じ表現型を持つ細胞集団の比較解析ができます。こちらのページでは空間トランスクリプトームをテーマに技術情報を連載中です。ぜひご覧ください。

 

受託解析ページはこちらから

 

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GeoMxリーフレットのダウンロードはこちらから

 


 

1. GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.1 ~意義と概要~ 

2. GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.2 ~2つの手法~ 

3. GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.3 ~解析ステップ概略~ 

4. GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.4 ~関心領域(ROI)の選択方法~ 

5. GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.5 ~インデックスオリゴの遊離と回収~ 

6. GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.6 ~GeoMx受託解析フロー~ 

7. GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.7 ~解析例~ 

 

 

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.1 ~意義と概要~

「空間トランスクリプトーム」という言葉を耳にしたことはありませんか。

生物は、多種多様な細胞により構成されており、それぞれの細胞が「個性」を獲得することで、組織における固有の機能を担っています。

トランスクリプトーム解析を行う上では、生体を構成する遺伝子やタンパク質などのターゲットを網羅的に解析することが重要ですが、従来のin situ hybridizition法(FISH法)免疫染色法(IHC法)では、特定のターゲットの評価に限られてしまいます。

一方、NGSで網羅的な解析は可能ですが、それぞれのターゲットの組織上の空間分布を把握することはできません。

空間の特定領域においてターゲットの特徴を網羅的に評価することが可能な技術、それが「空間トランスクリプトーム」です。

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.2 ~2つの手法~ 

ひとくちに「空間トランスクリプトーム解析」といっても、研究目的・用途によってアプローチの方法が変わってきます。大別しますと、下記の2つの手法があります。

 

1.網羅型

組織切片全体を俯瞰できるよう等間隔に領域を選定し、切片全体のターゲット情報(遺伝子発現)を解析する手法です。10X Genomics社が「Visium」という商標でサービス化しています。専用のスライドガラスに病理切片を貼付し、スライドに一定の間隔でデザインされたスポット上の分子バーコードを回収後、mRNAの定量解析を行います。

 

2.局在型

マーカー抗体による多重蛍光免疫染色標本を画像処理でイメージ化し、それをもとに腫瘍や間質などの関心領域(region of interest、ROI)を設定します。ROIごとに分子バーコードを回収後、mRNAやタンパク質、あるいはその両方の定量解析を行います。

NanoString社が「GeoMx」という商標でサービス化しています。

従前の解析手法であるlaser capture microdissection(LCM)を高精度に進化させた技術になります。免疫染色で使用するマーカー抗体を試験目的に応じて選択することで、様々な病態の研究に対応することが可能です。

似て非なる特徴をもつ両者ですが、研究の目的に応じて上手に使い分けを、ご検討されるのが良いのかと思います。

ジェネティックラボでは2.局在型のGeoMx解析を実施いたします。

 

 

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.3 ~解析ステップ概略~

「局在型」の解析手法、NanoString社「GeoMx」の技術をもう少し掘り下げてご紹介したいと思います。

繰り返しになりますが、GeoMxは関心領域(ROI)のみに限定し、RNAやタンパク質の発現を定量できるのが大きな特徴になります。

免疫染色やISHでは限られたターゲットの情報しか得ることができません。一方、この技術ではヒトおよびマウスの約20,000種の遺伝子や約100種のタンパク質を1回のアッセイで解析することが可能です。

このような特徴から、腫瘍免疫学や神経科学のアーリーフェーズの標的探索研究などに有用と考えられます。

※ 文献例はこちらからご確認ください

 

もちろん、標的選定後の免疫染色ISHなどの従前技術もご提案ができますので、幅広いご研究フェーズをカバーしたワンストップな研究支援をジェネティックラボはご提供可能です。

 


GeoMxの解析ステップ概略

解析ステップ概略は以下になります。

 

分析の流れ

 

①蛍光多重染色標本の作製

RNA検出にはインデックスオリゴならびにRNA検出用プローブを、タンパク質検出にはインデックスオリゴならびに抗体を使用します。


②イメージング、ROIの選択

①で染色した画像上で、回収するROIの選定を行います。


③インデックスオリゴの遊離

1μm角のミラーが100万個整列した「デジタルマイクロミラーデバイス」を用い、ミラーの角度を変えて、ROIにUVを照射することでインデックスオリゴを遊離させます。


④ROI回収

回収したプローブはROIごとに96ウェルプレートの各ウェルに保存されます。


⑤定量・解析

インデックスオリゴには個々のターゲットを識別する分子バーコードが含まれており、タンパク質であればnCounter、RNAであればNGSを用いて判読します。判読後のデータをGeoMxへインポート後、形態学的位置情報と合わせて解析したデータをご報告いたします。

 

 

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.4 ~関心領域(ROI)の選択方法~

GeoMxにおける関心領域(ROI)の選択方法についてご紹介いたします。

関心領域(ROI)につきましては、下記の5種類の回収方法を選択することが可能です。それぞれの特徴とあわせご紹介します。

 

ROI

 

1.Geometric

円型や四角型、五角形型またはフリーハンドのパターンで領域を選定・回収します。組織上のさまざまな領域中の発現不均一性の研究に適しています。直径または一辺が10~650μmの範囲で選択が可能です。

2.Segmentation

マーカー抗体により細胞を識別し、染色パターンに基づいて領域を指定します。例えば、腫瘍微小環境(TME)など、生物学的コンパートメントごとの発現プロファイルの研究に適しています。

3.Rare Cell

単一細胞ごとに選定・回収します。特定細胞集団の発現プロファイルのご研究に適しています。※ 後述しますが、単一細胞レベルでの解析はできません。マーカーで識別した同一細胞集団での解析となります。

4.Contour

天気図の等圧線のように特定の領域から等間隔に選定・回収します。微小環境において境界の両側でどのような発現変化が生じているのかを解析する研究に適しています。

5.Gridded

切片全体にグリッド線を引き選定・回収します。複数ターゲットの変動を特定の組織領域で詳細にマッピングする研究に適しています。

 ROIあたり250分子程度のバーコードオリゴを回収できれば解析が可能です。目安として、直径200μm/ROIまたは200細胞/ROI以上が必要な回収量となります。

 ご研究の目的に応じ是非ご検討ください。

 
※ 受託解析ページはこちらから、GeoMxウェビナーオンデマンド配信ページはこちらから

※ 文献例はこちらからご確認ください

 

 

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.5 ~インデックスオリゴの遊離と回収~

vol.4ではGeoMxにおける関心領域(ROI)の選択方法についてご紹介しましたが、今回はインデックスオリゴの遊離と回収方法について、もうすこし詳しくご説明いたします。

ROIの回収法ときくと、レーザーマイクロダイセクション(LCM)を想像される方も多いのではないでしょうか。

LCMではスライドガラスに貼り付けた 組織のROIをレーザーで回収し、回収された組織から抽出した核酸を用いてシーケンサー等で解析をおこないますが、GeoMxシステムでは組織そのものではなく、組織にあらかじめ結合させていた抗体やプローブを標識しているインデックスオリゴを回収します。

1μm角のミラーが100万個整列した「デジタルマイクロミラーデバイス」を用い、ミラーの角度を変えて、ROI選択的にUVを照射することでバーコードを遊離させ、キャピラリーで回収して96ウェルプレートの各ウェルに保存します。

このバーコードを定量化し、各ROIにマッピングすることで空間情報を保持したまま、発現プロファイリングを完成させることができるのです。

ジェネティックラボの受託サービスでは、遺伝子発現解析はNGS、タンパク発現解析はnCounterにて定量化を行う予定です。

遺伝子発現解析、タンパク発現解析、ともに様々な特徴のパネルが展開されており、腫瘍学、免疫腫瘍学、神経生物学などの分野で有用と考えられています。

 

 

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.6 ~GeoMx受託解析フロー~

試験受託の流れについてご紹介いたします。

 

ご依頼の流れ

 

1. パネルを選択(お申込み)

・ RNA解析
- Whole Transcriptome Atlas(ヒト・マウス:18,000以上)
- Cancer Transcriptome Atlas(ヒトのみ:1,800以上)
- COVID-19 Immune Response Atlas (ヒトのみ:1,800以上)

・ タンパク質解析
- Immune Cell Profiling Panel(ヒト・マウス)
- Neural Cell Profiling Panel(ヒト・マウス)
※ タンパク質解析は上述コアパネルに対してモジュールを追加することで80以上のターゲットの解析が可能です。

 

2.サンプルのご提供

・未染スライド 3~4枚/症例以上(5μm厚)
または
・未染スライド 2~3枚/症例以上(5μm厚)および連続切片のHEスライド 1枚/症例をご用意ください。
(推奨スライドガラス:スーパーフロストプラス(51462A, 武藤化学))

※ ホルマリン固定組織(PBS置換)、FFPEブロック、凍結OCTブロックをご提供いただき、弊社で未染スライドの作製からも承ります。

 

3.ROI(関心領域)の選定

HEスライドのバーチャル画像上でROIをご指定いただきます。
※ IHC染色画像やISH染色画像からの選定もご相談承ります。
※ 22か所/スライド×4スライドが基本仕様となります。
※ 選定したROIをさらにマーカーの染色態度によって2分割して解析することも可能です。
その場合は、11か所×2分割/スライド×4スライドが基本仕様となります。

 

4.GeoMx解析

- 回収のためのスライド調製および染色画像の取り込みを実施します。
- 取り込んだ画像上でROIからインデックスオリゴを遊離・回収します。
- RNA解析はNGS、タンパク質解析はnCounterを使用し解析データのリードアウトを行います。
- リードアウトデータをGeoMxに取り込み、ROI間の発現差解析を実施し、ご報告します。

以上がおおまかな流れとなります。お申込みからご報告までは35営業日程度を見込んでおります。

 

 

GeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析 vol.7 ~解析例~ 

実際の解析例をご紹介いたします。

おおまかな受託解析フローはvol.6でもお伝えしましたが、サンプルご提出、ROIの選定、GeoMx解析後、まずお届けするのは、ボルケーノプロットとクラスタリングの2種類の解析結果になります。

 

【解析例1】ボルケーノプロット

volcano-compressed

 

【解析例2】クラスタリング

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こちらはデータ量が多いため、解析結果ご報告後一度ディスカッションの機会を設け、その中でターゲットの絞り込みを行います。

その後、絞り込んだターゲットでボックスプロット等のデータを取得し、組織の画像や取得したデータを報告書にまとめ、ご報告いたします。

 

【解析例3】ボックスプロット

boxplot-compressed

ジェネティックラボでは2022年10月31日よりGeoMxシステムによる空間トランスクリプトーム解析の受託サービスを開始いたしました。

まずはwebでのお打ち合わせを設定させていただきますので、以下フォームよりお気軽にお問い合わせください。あわせて受託解析ページもぜひご覧ください。

 

 

リーフレットのダウンロード

GeoMxリーフレットのダウンロードはこちらから

 

 

 

なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。